丸亀製麺といううどんチェーン店があります。全国に500店舗以上あるようですから皆様の周りもあるでしょう。丸亀製麺はブランド名で、企業としては株式会社トリドールという会社が運営しています。

  そのトリドールが、ロサンゼルスのうどん店『丸亀もんぞう』(MONZO)に対して「丸亀という名称を使うな」とクレームをつけたそうで、ネット上ではトリドールに批判が殺到し、炎上状態となっているそうです。

  実はトリドールさん、米国特許商標庁での商標登録として「MARUKAME」という文字商標を持っています(第4199228号)。

  この米国登録商標は、以下のサービスを対象にしています。
Restaurant and cafe services, namely, restaurants and cafes that serve Japanese-style noodles such as udon; Catering of food and drinks; Snack bar and canteen services; Self-service restaurants; Mobile restaurant services.

  うどん屋はこの中に入ります。トリドールさんは、この登録商標「MARUKAME」に基づいて『丸亀もんぞう』というブランドに対しクレームを付けていると思われます。

  さて、ネットでの批判は、法律的観点というよりは、

・丸亀製麺は丸亀の会社ではない(トリドールは兵庫県神戸市に本社があり、沿革的にも特に丸亀市との関連はないようです)
・丸亀製麺は丸亀に店もない

  それに対し、

・丸亀もんぞうは丸亀で修行した職人さんたちが開いた店

  であるという観点からトリドールさんを批判しているようです。

  もちろん、地名を一企業が独占するのは妥当なのか、過大な権利の主張ではないかという法律的論点もあるかとは思います(※)。しかし、ある意味で正統性(正当性ではありません)がないブランドには厳しい目が向けられることがあるというのは興味深いですね。

  特にネットではそういうことに非常に敏感ですね。

  丸亀製麺が丸亀にゆかりがあれば、今回のバッシングが起こらなかったのかどうかはわかりませんが、おそらく、クレームをつけた相手が韓国系や中国系企業であれば、こうした批判は起こらなかったでしょう。むしろ、丸亀製麺よくやった、くらいの評価をされたかもしれません。

  ネット上での「正義感情」と法律上の権利の枠組とは必ずしも一致しないわけですが、なかなか興味深い現象です。

※「おんせん県」事件における大分県への批判の場合、「おんせん県」という表現をひとつの県が独占するのは妥当なのか、という点でしたが、これは、商標法第3条1項6号での拒絶理由というかたちで法律的にも構成され得るものでした。