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  自社ビルをお持ちの企業ならまだしも,多くの中小企業は,土地を借りたり,オフィスを借りたりして,毎月の賃料の支払があると思います。賃料は,基本的には賃貸借契約書に記載された金額を支払わなければなりません。

  このような賃料について,賃貸借契約書上,「賃料は,2年ごとに5%増額するものとする。」との自動改定特約が入れられることがあります。景気が上昇している局面においては,貸主側も,個別に交渉する手間が省けるというメリットもあるなど,一応の合理性はあるでしょう。

  しかしながら,景気が停滞していたり,下降する局面では,このような条項に従って自動的に賃料が決まってしまうと,少しでも経費を削減したいテナントとしては,賃料を払えなくなってしまいます。何も知らないテナントとしては,契約をしてしまった以上,これに従わざるを得ないと考えて,2年ごとに5%アップの賃料を支払い続けてしまうかもしれないのですが,このような賃料の自動改定特約には,十分に注意が必要です。

  裁判実務では,このような賃料改定基準も,経済事情の変動等を示す指標に基づく相当なものである限りは有効とし,借主に著しく不利益であるなどの特段の事情がある場合には,部分的に無効とするなどの裁判例があり,最高裁判所も,一旦,有効に成立した賃料自動改定特約であっても,その後の経済事情の変動等に照らして不相当なものとなった場合には,その適用は認められないと判断しています。

  まずは,賃貸借契約を取り交わすときに,この条項が入っているか否かを確認し,入っている場合には,削除を要求しましょう。また,このような条項が入った賃貸借契約を取り交わしてしまっていたとしても,直ちにこれに従わないといけないか,慎重に判断する事が求められます。