企業再生


  企業再生というと、民事再生法の申請と決め込むことは、企業者にとって極めて不幸なことである。

  民事再生法の申請は、世間的には倒産とあつかわれるし、手続きの仕組みから、取引を巻き込んでしまう。したがって、民事再生手続きの申し立ては、他に手段の無い最後のものと考えるべきである。

  業種によっても異なるが、有利子負債が年間売り上げの5割から7割くらいであれば、M&Aで、有力なスポンサーを確保して、再生出来る可能性は大きい。有利子負債がこれより大きくても、税引き前利益が黒字なら、十分可能性はある。技術のある中小メーカなど、買い手はいくらでもいる。

  銀行借り入れが不良債権化していても、本業がしっかりしていれば、銀行債権をスポンサーが買い取る(多くの場合、サービサーを介するが)方法で、再建する方法もある。

  例えば、老舗の旅館で、既に営業を停止していても、金融債権を担保権つきで安く買い取る(価格は、不動産価格が目安)という方法がある。これは、ゴルフ場でも使うスキームである。この手法は、社長の個人保証もついてくるので、これもあわせて解決できるという巧妙な方法である。

  有利子負債をカットしないと再生は無理という場合でも、裁判所に特定調停を申したてるという方法がある。特定調停は、機能としては民事再生と同じ企業再生の手段であるが、相手を金融機関に限り、取引先を巻き込むことを避けることができる。民事再生のように、手続きが硬直的でなく使い勝手もよいし、なんといっても、世間的には倒産とは見られないので、企業再生には効果的である。いずれにしても、M&Aで、スポンサーを確保することが、特定調停成功のポイントということは多い。

  キャッシュフローがタイトになっていると、民事再生法を申し立てて、弁済禁止の仮処分をだしてもらわざるをえないが、この場合は、取引先を巻き込むので、それだけの覚悟が必要である。民事再生でも、中小企業の場合は、スポンサーを確保することが、成功のポイントであろう。

  企業再生では、事業をスポンサーに買い取ってもらい、残りを破産で清算するというケースもある。外科手術のような切れ味の良い手法であるが、このときも、破産でなく、全体を民事再生の再生計画の中で処理するということも可能である。破産だと聞こえが悪いので、この手段を活用すべきである。

  M&Aは、相手の確保が必要であるが、この分野に精通した弁護士であれば、難しいことではない。