会社において、法務部社員と弁護士との意思疎通がスムーズでなければ、大損害を被ることもありますし、トラブルへの対処も後手後手となります。しかし、弁護士の頭にある考え方と法務部社員の考え方には齟齬があることもあります。

  私が企業法務部社員であったころを思い出し、実際に弁護士になった現在と照らして、ありがちな考え方の違いについて、記載していこうと思います。


「最終目標」についての考え方の違い

  弁護士としては、最終目標をこれまでの経験からある程度予測して定めてアドバイスします。しかし、これが、実際の会社の目標と食い違うことがあります。

  たとえば、実際に私が経験した例ですが、会社が商業ビルの賃貸借の借主側で、立ち退きが問題になっていると相談されれば、弁護士は立ち退きを防止したいのだと考えます。一般的な相談からすれば、そちらの方が多いからです。

  しかし、会社としては、立ち退きはしてもしなくてもどちらでも良く、ただ敷金や営業保証金の返還に不安があり相談している場合もあります。トラブルの多い貸主ならば、契約を切った方が将来のリスクヘッジができるからです。

  このように最終目標とする考え方が違うまま法律相談をしていたために、相互に話をしても噛み合わず、徒に時間を費やしてしまいました。

  当時、私は、法務部社員側でしたので、この弁護士は、なぜ的外れな答えばかりするのかと思いましたが,今,弁護士として思い返せば,弁護士の一般的考えからすれば立ち退きを防止することから話すのは当然か、と思う面もあります。

  このような場合、弁護士としては、相談の最初に、会社としての最終目標を示してくれると大変話しやすいです。

  弁護士としても気を付けるようにはしているのですが、数多くの事件の中で、こういう事件はこういう問題があり、こういう解決が一般的だとの判断が経験から身についています。そのため、法律相談はどうしてもその経験から一定の方向に行きがちです。しかし、それが会社の望む方向で無ければ、意味がありません。

  ですので、相談の最初に、会社の方針を伝えてもらえると大きな考えの齟齬、アドバイスの齟齬は生じないかと思われます。