現在、日本では、商標は「文字、図形、記号若しくは立体的形状若しくはこれらの結合又はこれらと色彩との結合」でないと登録されません(商標法2条1項)。簡単に言うと 文字、図形、記号、立体的形状やこれらに色を付けたもの でなければ登録になりません。

  例えば、「ファミリーコンピュータ」という文字、"meiji"のロゴ、スターバックスの女神像など、文字やロゴ、図形の商標はよくみかけます。


立体的形状の商標

  立体的形状の商標は日本では1997年から登録可能になりました。有名なものとして、コカコーラの瓶(登録第5225619号)、大隈重信立像(登録第4164983号)があります。

  



(写真はいずれも商標公報から。それぞれ、ザ・コカ-コーラ・カンパニー、学校法人早稲田大学の登録商標です。なお、いずれも指定商品等がありますが、本稿では基本的に省略します)

  このほか、、株式会社不二家のペコちゃん、ポコちゃんのキャラクター人形(登録第4157614号、第4157615号)も立体商標です。


今後認められる予定の商標

  さて、世界的に見れば、商標の要素としてはこれら以外のものもあります。必ずしもTPPの一環というわけではないのですが、グローバル化という点で、日本の商標法でも以下のものが商標の要素として認められる予定です。秋の臨時国会に改正商標法案を提出するようです。


音響商標

  まず「」。現在でも、CM中の短い音楽など(サウンドロゴ)で、特定の企業を認識するということがありますが、実は外国の商標法では、このようなものも保護され得るのです(音響商標)。

  次の楽譜は実は商標を表しています(欧州共同体商標登録第4610986号)。



  これはさすがにわかりにくいですが、この楽譜のいちばん上の音列、つまりレ♭-レ♭-ソ-レ♭-ラ♭からなる音列は米国で商標登録されています(米国商標登録第2315261号)
"The mark consists of a five tone audio progression of the notes D FLAT, D FLAT, G, D FLAT and A FLAT."

  どこの会社かというと、インテルです。インテルのCMでよく流れていましたね。

  歌詞付きもアリです。例えば、



(欧州共同体商標登録第2529618号。なお、若干不鮮明なのは実際の登録データによるものです)

  久光製薬のこの「ヒサミツ♪」、日本でもCMの最後に流れていますが、日本でも音響商標が認められれば、商標登録されるかもしれません。


色彩商標

  「」もあります。日本でも、現在、図形等との組み合わせとして色は商標の要素になり得るのですが、色そのものは登録できません。

  例えば、色彩商標の例としては、これ。

  欧州共同体商標第3793361号。これは、下記の色彩のみの商標で、キャットフードやネコ用ミルクが指定商品です。商標権者はぺディグリーやシーバで有名なペットフードメーカーですが、whiskasというブランドにこの色彩商標が使われています。http://www.whiskas.co.uk/をご覧になると、なるほど、色彩商標とはこういうことか、というのがおわかりいただけるでしょう。



動く商標

  動く商標というのは、例えば、20世紀フォックスのサーチライトが夜空を照らす映像(米国商標登録第192842号)です。

  このように、欧州や米国では音響商標や色だけの商標、動く商標が認められており、これらが近々、日本でも商標登録の対象となるわけです。


難しい類似範囲の確定

  もっとも、商標権は一定の者に商標の使用の独占させる強い権利です。第三者が登録商標を使用すれば商標権の侵害になります。類似範囲の使用も侵害とみなされます。従って、何が商標なのか、どこまでが「類似」かは大きな問題です。

  その点、新しい商標では、その特定方法が問題です。音は音符で表現し得るものばかりではありません。エンジンの排気音や動物の鳴き声のようなものもあり得るわけです。日本では、楽譜や電子データで実際の音を登録する方向になるようですが、その場合、類似範囲の確定はかなりむずかしそうです。 色彩のみも(もちろん、特定の指定商品・役務についてのみ独占権が認められるのですが)類似範囲の確定はかなりむずかしそうです

  取り敢えず、例えば、ゲームメーカー等では、サウンドロゴの影響は大きいかもしれません。今から研究されておくことをお勧めします。