デューデリジェンスってなに?

   昨今、日本においてもデューデリジェンスという言葉をよく耳にするようになりましたが、デューデリジェンスとはいったいどういうものなのでしょうか。

  デューデリジェンスとは、企業等がM&A取引等を行う前に、対象となる会社ないしは事業等に対する実態を調査し、問題点の有無やM&A取引が円滑に行えるよう必要な手続を把握するために行う調査のことをいいます。このデューデリジェンスには、法務、税務・会計、ビジネスにおけるデューデリジェンスがありますが、今回は法務デューデリジェンスについてお話します。

デューデリジェンスの重要性

  上場企業等の大手企業においてはM&Aを行う前にデューデリジェンスを実施するということが日本においても浸透してきましたが、 中小企業においてはこれがまだ浸透していないのが現状といえます。では、なぜデューデリジェンスは必要なのでしょうか。

  弁護士をしていて、企業の方からよく様々な相談を受けますが、契約関係をおろそかにしていたので多額の違約金を請求されている、従業員とトラブルになった等、様々な問題を抱えている企業も少なくありません。簡単に言うと、デューデリジェンスを行わずにM&Aを行うと、こういった企業が抱えている問題がM&Aの実行後に発覚し、トラブルになったり損害が生じたりするということになります。

  具体的には、買収後に、対象会社が訴訟をいくつも抱えていることが判明しその後敗訴して多額の請求を受けた、対象会社の主要な事業のライセンス(許認可)が不十分であることが判明した(又は、合併等により対象会社のライセンスをそのまま使用することを考えていたが、法令上許認可の承継ができなかった)、会計帳簿に記載されていない多額の偶発債務が存在した等の事例がよく見受けられます。

  また、詳細はまた別の機会にお話ししますが、契約書には、いわゆるChange of Controlという条項が入っている場合があります。この条項は、合併や株式譲渡等により支配関係に変動があった場合には契約を解除できるというものですが、M&Aの実行後に、収益を期待していた重要な取引先から契約を解除されるという可能性もあります。

  事前に問題点を把握できていれば、その会社を買わないという判断もあり得ますし、買う前に会社に問題点をきちんと治癒させるという条件を付けたり、場合によっては取引金額を減額した上で買うということもあり得ますので、デューデリジェンスは、M&Aの意思決定や取引金額を決める上で極めて重要なものになってきます。

  また、Change of Controlがついている契約の取引先から事前に承諾を取得したり、許認可の承継に必要な手続きを行ったりなど、デューデリジェンスは、M&A取引に必要な手続きを把握するという意味でも重要な役割があります。

  さらに、デューデリジェンスを行わずにM&A取引を行った後に重要な問題点が発覚し会社に損害を生じさせた場合には、取締役は善管注意義務違反に問われる可能性がありますので、会社の取締役個人の立場からは、善管注意義務を果たすという意味でも、このデューデリジェンスは重要な意味を持つことになります。

  またの機会に、どのように法務デューデリジェンスを行うのかについて詳しくお話ししたいと思います。