知的財産権は、大きく産業財産権著作権新品種育成者権等のその他の権利に大別することが出来ます。どれもこれからのビジネスには重要なものですが、行政書士という業務から今回は著作権をピックアップしたいと思います。

  著作権というのは、「著作物並びに実演、レコード、放送及び有線放送に関し著作者の権利及びこれに隣接する権利」で、これを簡単に言うと「著作物等を勝手に使わないようにすることができる権利」です。この著作権というのが結構曲者で、それが故に混乱を巻き起こすことも結構多いのです。その一因が、「著作権」という単語は複数の意味があるから、といわれています。

  おそらく皆さんは、著作権と普段何気なく使っていると思います。意外かもしれませんが、実は著作権には3つ意味があるのです。

  1つ目は、著作権全体を意味する「著作権」です。仮に「著作権A」といっておきましょうか。この著作権Aは、著作者人格権も著作隣接権も何もかも全部ひっくるめたものです。 

  2つ目は、著作権Aから著作隣接権を外したもの、つまり純粋な「著作権」です。これを仮に「著作権B」とします。

  ここからさらに著作者人格権を外すと、著作権の中でも譲渡等が可能な財産権的権利である「著作権C」にあたる3つ目の著作権が残ります。

  このように著作権というだけで3つも意味があるわけですが、契約書はどうでしょうか。「著作権」としか書かないのではないでしょうか。そうすると、どの「著作権」か分かりませんよね。そして例えばですが、著作物を譲り受けた(購入した)方が自分の名前を表示してトラブル・・・こういうのはわりとよくある話です。

  著作物の譲渡契約に関しては、この著作権がABCのどれなのかをきちんと定義して書類作成を行わないと、あとでこのようなトラブルを招くことがあります。

  まずどの権利があり、どれを譲渡するのか(著作権Cも権利をさらに細分化できます)、それ以外にしなければならないことは何かなどを整理しないと、あとでお互いアンハッピーという最悪の結果になるので注意してください。