法務部社員が弁護士に相談するにあたり、会話を録音しておけば、会社への報告も楽であるし、聞き間違いや齟齬の修正もできるということで、録音したいことも多いと思います。
しかし、弁護士が気を悪くするのではないかなど、気になるところもあるでしょう。弁護士としても、本当は、録音を止めてほしくても、なかなかはっきりと断りにくかったりします。
実際のところはどうでしょうか?
この点、録音する場合には、「この点を録音したいので、もう一度説明してください」などと限定して録音してくれれば助かります。と言うのは、法律相談での回答には、弁護士はどこに出しても問題がない回答と、内輪だからできる回答の2種類がある時があるからです。
なかなか例も出しにくいので、あくまで架空の話と言う前提で例示すると
例えば、ある長期間放置された債権があって弁済の要否を相談された場合
・その債権の時効が完成していれば、「時効が完成しているので、時効を援用すれば支払わなくてよいですよ」とアドバイスします。
・問題は、時効が少し先だが、多少ごまかせば時効になりそうだという場合です。
・その債権の時効が完成していれば、「時効が完成しているので、時効を援用すれば支払わなくてよいですよ」とアドバイスします。
・問題は、時効が少し先だが、多少ごまかせば時効になりそうだという場合です。
弁護士と担当者と内輪だけでの打ち合わせ(つまり録音がなければ)でしたら、「特に連絡せずに、もう少し様子を見て時効期間が経過したら時効援用しましょう」程度のアドバイスはできます。
しかし、それが第三者にも公開される可能性がある状況、つまり録音されている状況ですと「時効にかかりそうですが、まだ時効でない以上、他に言い分がなければ、弁済してください」としかアドバイスしにくいです。
弁護士としては、依頼者が録音していても、していなくとも、違法なアドバイスはできません。しかし、違法ではなく相談者にも有利だが、社会一般に、不誠実ではないかと思われるようなアドバイスをすることは、録音されていると躊躇します。
つまり録音されていると、純粋に、依頼者のメリットを最大にするアドバイスがし難くなることがあります。
この点を考えると、弁護士との法律相談は、基本は録音なしで相談し、特にポイントだけ、断りを入れて録音するのが良いのではないかと思われます。