アルバイトによる悪ふざけ行為の実例

 昨年のことになりますが、皆様は以下のようなニュースがマスコミを賑わしたことをご存知でしょうか?
・コンビニで、店内のアイスケースに入り寝そべる写真をフェイスブックに投稿
・ハンバーガーチェーンで、大量のバンズに寝そべる写真をツイッターに投稿
・ステーキチェーンで、厨房の冷蔵庫に入り顔を出した写真をツイッターに投稿
・宅配ピザチェーンで、ピザ生地を顔に貼り付けた写真をツイッターに投稿

 もうご存知だと思いますが、コンビニ・外食チェーンを中心に、最近報道があったアルバイトの悪ふざけ行為の一例です。上記以外にもたくさんの問題行動が明らかになっているようです。問題行動が明らかになった会社では、謝罪と該当アルバイトへの厳重処分を表明するともに、店舗の清掃・消毒、従業員への指導・教育の徹底を図るとしています。

 このようなことがあると、店舗の衛生面や接客面でお客様からの信用が失墜しますので、会社の損害は非常に大きなものになりますが、中には信頼回復が難しいとして、既に当該店舗の閉店を決めたケースもあるようです。

 このような悪ふざけ自体は昔から多かれ少なかれあったのかもしれませんが、最近ではその行為を簡単にツイッターやフェイスブックに投稿できるので、あっという間に不特定多数の人の目に曝されて、問題が大きくなってしまいます。


SNSを利用した悪ふざけ行為への対策のポイント

 それでは、アルバイト等による悪ふざけ行為に起因する損害発生を防ぐために、会社はどのような対策を取ればよいのでしょうか。最近、飲食店や外食チェーンなどでは、以下のような対策をとることが増えているようです。

・会計や厨房などに従業員の作業行動をチェックするための監視カメラを設置する。

・夜間に若年のアルバイトだけを残さないなど、アルバイトの管理体制を強化する。

・専門スタッフまたは外部委託等により、インターネット上の記事を定期的に監視する。

 しかし、上記のような対策は、中小企業にとっては経営にかかるコストや労力の面で負担が大きく、また、職場内にいらぬ軋轢を生みかねないため、導入は容易ではないかもしれません。

このため、会社が取るべき防止策としては、まず次の2つが大切となります。
(1) スタッフ教育の徹底
(2) 就業規則等、労務関連書式の整備

 (1)スタッフ教育の徹底については、入社時の注意喚起が重要です。特に若年のアルバイトに対しては、社会常識を十分に身に付けておらず、公私の区別に対する認識が薄いことを考慮して、以下の趣旨のことを厳しく伝えて下さい。

・悪ふざけ行為の悪質さ、情報漏洩による損害の深刻さを認識させる。
・解雇や損害賠償等の法的責任の重大性を認識させる。
・SNSが炎上した場合、本人の個人情報も拡散し、自分の経歴や将来に大きなヒビが入る可能性があることを認識させる。

 (1)スタッフ教育の徹底とともに大切なのが、②就業規則等、労務関連書式の整備です。就業規則において、服務規律規定には具体的に“SNSによる”情報漏洩の禁止を、懲戒規定には服務規律に違反した場合の罰則を明記し、これらを従業員に対して周知・徹底することで注意を促します。

 そして、入社時にはアルバイトに対しても、誓約書や身元保証書の提出を義務付けると、より対策の効果が上がります。誓約書の文面には、悪ふざけ行為の禁止やSNSによる情報漏洩禁止について、具体的な文言を入れて下さい。また、これらの行為により会社が損害を受けた場合には、本人に対して全額損害賠償を求める旨も入れておきましょう。