TPP交渉も大詰めの段階に入ったようです。知財について、どのような展開になるのかまだ不明ですが、著作権保護期間が延長される可能性があり、日本の知的財産にも大きな影響が出ると予想されます。
仮に、著作権の保護期間が現行の「死後50年」から「死後70年」に延長となった場合、まず懸念されるのは著作権者がますます見つけにくくなる、ということです(孤児著作物の増加)。この、著作権者の不在の問題は、現行でも既に起こっています。
デジタル時代を迎え、過去のアーカイブをデジタル化することが技術的には容易になりました。しかし、著作権者がわからないため作業が難航しているのです。
現在の著作物が権利者不詳になることを防ぐ方法のひとつとして、著作権の登録制度の活用をお勧めします。特にプログラムデータなどは、クラウドの中でのオープンソース展開が加速していくと思われます。そのために、原著作者が誰なのかを明確にしておく必要があります。
著作権登録制度(文化庁)
http://www.bunka.go.jp/Chosakuken/touroku_seido/index.html
プログラム著作権登録(ソフトウエア情報センター)
http://www.softic.or.jp/touroku/
現在の日本の著作権法は、古い住宅の増改築を繰り返し迷路になっているようなもので、残念なことに、必ずしも「文化の発展に寄与」しているとは言えません。
そこに、アメリカのクラウドプロバイダー(アマゾン、アップル、グーグル、マイクロソフトなど)が各国の事情をなぎ倒しながら根付こうとしています。
グローバル化とクラウド化。
この大転換期をどのようにチャンスに変えてゆくのか。その柔軟性と眼力が、知財にかかわるすべての関係者に問われています。
注)米国のクラウドプロバイダーは、著作権保護期間を70年から50年に戻そうと積極的なロビー活動を行っていると漏れ聞こえてきます。クラウドプロバイダーにとっては、著作権保護期間が短い方が利益を生むためです。