最近、社長が突然亡くなってしまってどうしていいかわからないという方が会社の税理士と一緒に相談にいらっしゃいました。会社の規模もそれ程大きくなく、社長が一人株主で、取締役会もなく、遺族も会社経営に全く関与していないという話でした。今後もありそうな相談でしたので、今回、社長が亡くなった場合について解説してみたいと思います。

1. 新社長を決める

 まず、新社長(あるいは社長候補)を決めましょう。従業員が別々に動いては混乱してしまいます。取締役会があれば、取締役会を開いて代表取締役を選任しましょう。取締役に欠員が生じる場合、臨時株主総会を開いて取締役を選任しましょう。取締役会がなければ、株主総会を開いて代表取締役を選任してもらいましょう。

 社長の一人株主であった場合、遺族に株式・会社持分を相続してもらい、代表取締役を選任してもらいましょう。遺族が相続放棄をした場合、あるいは相続するかどうか決めかねている場合、社長候補を裁判所で一時代表取締役の職務を行うべき者として選任してもらいましょう。

 次の社長が決まったら、取引先や銀行に挨拶に行って、今後の事を相談しましょう。諸官庁への届出ももちろん必要です。

2. 会社の状況についての把握

 経理担当・顧問税理士に確認して、会社の資産・負債、社長個人の資産・負債、会社の収支状況等早急に会社の状況を把握することです。社長のワンマン経営の場合、社長と会社間の貸し借り等、社長しかわからない事もあるかも知れませんが、可能な限り把握することです。

 銀行から借入がある場合、銀行の担当者から借入残と支払状況・支払方法・連帯保証人について確認しましょう。事務所や倉庫を借りている場合、貸主や管理業者から賃料の支払状況・支払方法について確認しましょう。

3.  遺族との清算

 以上は、早急にやらなければならないことですが、落ち着いたら、遺族との間で貸し借りの清算・退職慰労金の支払い・株式の買い取り等の話をする必要もあります。