消費者契約法の重要性
消費者契約法は平成12年に制定され,翌年より施行されております。ちょうど21世紀に至り,現代社会における消費者保護の時代を象徴する法律とでもいえましょう。事業者は,さまざまな取引行為を行うにあたって,消費者の権利に十分配慮しなければならない時代となっています。
まず何よりも,具体的には,消費者を相手方とする取引では,断片的な判断を述べたり,重要な事柄を告げないこと,消費者が断った後も勧誘をすることなどの不当な勧誘は,契約の取消し事由になります。営業・勧誘方法を従業員に指導したりするうえでは,これらの消費者保護に関する法令を踏まえなければなりません。それを基本とした上で,対消費者の契約書づくりにおいても,消費者に不利過ぎる結果,消費者契約法に抵触する条項となっていないか丹念にチェックする必要があります。
契約書における留意事項①(事業者の損害賠償の責任を免除する条項の無効)
消費者契約法では,「事業者の損害賠償の責任を免除する条項」を無効(同法第8条)としています。典型例としては,いかなる事由があった場合においても,消費者側に生じた損害の「一切の責任を負わない」旨を定める条項がこれにあたります。こうした条項が定められている契約書(あるいはちょっとした店内等の告知文章)は時折見受けられますが,実際に,係争になった場合には無効とされる可能性が高いでしょう。契約書における留意事項②(高額な違約金等の条項の無効)
また,消費者契約法では,「消費者が支払う損害賠償の額を予定する条項」として,例えば違約金や損害賠償額の定めが年14.6%を超える場合を無効であるとしています(同法第9条)。契約書における留意事項③(消費者の利益を一方的に害する条項の無効)
また,消費者契約法では,「民法第1条第2項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものは,無効とする。」(同法第10条)という規定をおいています。こちらについては,上記の2種と異なり非常に抽象的な条項です。身近なところでは「不動産賃貸借契約の更新料支払条項」等をめぐり訴訟により多々争われたところです。実際の取引類型によって,どういった内容の条項であれば,過去の裁判例等の考え方に照らしても「消費者の利益を一方的に害する」ものとなってしまうのか,あるいは逆に消費者の利益を「一方的」に害するとまでは言えず,双方にとってそれなりに合理性のある条項であると言えるかについては,弁護士等による専門的な判断が不可欠な分野といえます。