企業では、何か契約をする際、必ずといっていいほど契約書を交わします。
何かあったとき(多くは義務が履行されないときですが)に、その証拠となるようにこれを文書化するわけです。
その何かを予防するためにも契約書は有効です。
これから企業を大きくしようと考えている方は、絶対に最初のうちから契約書を整備しておくことをお奨めします。

さて、このような方が契約書を作成する場合ですが、欠くべからざるものがあります。
主な契約内容は当然ですが、それ以外にもいくつかあります。
罰則規定?管轄裁判所?・・・
これらも大切ですが、企業が大きくなるときにネックになるものがあります。
実は・・・個人情報保護と暴力団排除条項に関する条項です。

前者は平成29年5月30日に施行された改正個人情報保護法が話題になったため、なるほどと思った方も多いと思います。
個人情報保護法は、企業の昇格に個人情報保護士の資格を要件とするところも出てきているようですし、法改正により企業の注目度が一気にアップした感があります。
今回の改正により最悪の場合懲役刑で収監されてしまう可能性があるというのが大きいのかもしれません。

EUと取引がある企業は、平成30年5月25日から施行されるEU一般データ保護規則(GDPR)も視野に入れて、個人情報保護に取り組む必要があります。
最近FACEBOOKが個人情報を漏洩したかどで、場合によっては2000万ユーロ(約26億円)の罰金を受ける可能性がありますが、これは他人事ではありません。
契約書に個人情報保護条項がなかったということでEUから叩かれる可能性もあります。

もう一つの暴力団排除条項は、もしかしたらピンとこない方もいるかもしれません。
でも多くの方は、そりゃそうだよね、というところでしょう。
暴力団ではないことを宣言させ、もし暴力団関係者だった場合は契約を打ち切るという内容のものが一般的ですが、こちらも極めて重要です。
暴力団とは付き合いたくないですからね。

先に書いた罰則規定や管轄裁判所ではなく、なぜこの2つをピックアップしたかというと、実は上場の際に重要な要件の一つだからです。
証券取引所は内部統制と暴力団排除に非常に力を入れています。
そこで、この2つはチェックの対象になるのです。

大きくなりました、上場を考え始めました、という段になってからでは、カバーに多大な労力を要してしまいます。
特に暴力団排除条項は、後から締結するのが大変です。
本物なら、これを拒否して揉めるでしょう。
こうなると大変です。

そのために、早いうちから契約書を整備し、これらの条項を入れておくことが望ましいといえます。
もし大分事業が拡大してしまってからでも、絶対に必要なことなので、今から見直すことをお奨めします。